― 能力開発研究所に入ってすぐ視界に飛び込んでくる、まるで空中に浮かぶ巨大なトマトの木について教えてください。
深瀬所長
私どもは、常に独創的なもので世界の人々の健康に貢献してゆきたい、という理念を持っています。しかし、独創的なものは簡単には出来ません。現在の延長でものを考えないことが重要です。そこで、大塚明彦会長が"発想の転換"を社員に伝えようと設置したのが、この《巨大なトマトの木》です。 こちらは、ごく一般的なトマトの品種です。その植える場所を土から水へと、発想を転換させたんです。すると、固い土のストレスから開放されたトマトは多い時で年間一万個以上の実をつけるようになりました。既成概念に縛られないことで潜在能力を引き出すーこのトマトの木にはそんなメッセージが込められています。
― 敷地内に様々なオブジェやモニュメントをお見受けしますが、他にもメッセージを放っているオブジェなどございますか。
深瀬所長
樹齢100年の杉の巨木を、一年かけて曲げて作ったオブジェがあります。"杉は真っ直ぐである"という固定概念を揺るがす作品です。そして、浮かぶことのない大きな石が水面にいくつも浮かぶ《水の石庭》は、"石は水に浮かない""石は固い"といった常識を覆す作品です。これらのものを通して、創造性や発想の転換の重要性を伝えています。
― 多目的ホール「ヴェガホール」という名前は、新しい世界との出会いを象徴して名付けられたそうですが、それは社員の方々のための施設なのですか。
深瀬所長
ヴェガホールのある能力開発研究所は、大塚製薬の企業理念を社員に伝える教育施設ですので、会社の行事がメインとなります。しかし、年間を通して休日は、地域の方々に無料でお貸ししております。
― 無料で?!...なかなか出来ることでは無いと存じますが、地域の方々を大切にされているんですね。
深瀬所長
大塚製薬は徳島で生まれた企業です。グローバルになればなるほど徳島にアイデンティティを感じており、地域に貢献したい、という思いがあります。このエリアには施設が少なく、上質なコミュニケーションを持てる場が少ないので、少しでもお役立ちできるといいですね。