取材日 2014.5.11

Miyaji
徳島県教育印刷株式会社様は、昭和46年に独立なされる前は、社団法人徳島県教育会の印刷部門でいらっしゃったのですね。やはり教育関係の印刷物を多く製作されているのですか?
Miyaji
そうですね。教科書対応のテスト、ワークや副読本など学校関係の物を多く取り扱っていますが、現在では様々な一般印刷...例えば自分史などの書籍、青果物やお菓子の箱などのパッケージなどにも力を入れております。今日は高知からお越しとのことですが、高知の銘菓「土佐日記」の貼箱も弊社で印刷しているんですよ。
土佐日記!よく存じております(笑)あの意匠は別格ですね!そして御社のホームページで拝見しましたが、自分史などの製本の際の編集や装丁、デザイン等、印刷のみならずサポートサービスも充実されていますね。
Miyaji
他にもデータの作成や管理、アンケートの集計処理などにも対応できるチームがおります。
 
 
「とくしま出版文化賞」という素晴らしい受賞は、そのような体制も関係されているのでしょうね。
Miyaji
この度のLED化、そして空調設備の導入はどのようなきっかけで実施されたのですか?
Miyaji
空調機器が古くて、新しいものに変えようとは考えていました。補助金の申請なども視野に入れて計画を立てていたその頃に、3.11(東日本大震災)の影響で電気代が以前と比べて17%程アップがありました。 そこで、まず現状を把握するためにもデマンド監視装置を設置しました。とにかく「無駄を省こう!」という思いです。デマンド値を低くして、省エネに対する社員の意識を高く持ってもらいたい!と考えました。
こまめにスイッチを切ったり、必要では無い場所を消灯する...などの意識付けをされたのでしょうか?
Miyaji
もちろん社員一丸となって取組まないとデマンド値を下げるのは容易ではないです。しかし、社員の意識に頼るだけではなく、会社としてもできることはやらないと。デマンド監視だけではダメなので、機械が古いことも影響していると思い、改めて導入を検討しました。

Miyaji
そして有難いことに宮地電機にお声掛けいただき、補助金の申請をされたのですね。
Miyaji
はい。しかし一度目は諸事情で一旦白紙に戻すことになりました。そして、もう一度チャレンジしようと思い、計画を練り直して、その年の補正予算の補助制度を活用することにしました。
補助の公募は毎年決まった時期にありますが、公募期間が短く書類も煩雑なため準備が慌ただしくなります。今回は一度仕切り直しをして十分な準備期間をとったことで、細やかな部分まで検討することができました。 この補助申請は容易ではありませんが、熱心に取組まれている姿を拝見しました。

Miyaji
施工では、何か問題はございませんでしたか?
Miyaji
はい。業務に支障が無いよう土・日の休日毎に作業をしてもらいましたので。また、工事日の中には台風など天候に恵まれない日もあり、宮地電機さんは大変だったと思いますよ。
工場内は大型の機械がたくさんあるので、間をぬって足場を組んで施工させていただきました。週末毎に作業を終えられた従業員の方々に養生をしていただいたり、とご協力をいただき無事完了することができました。
導入されてみてのご感想をお聞かせいただけますか?
Miyaji
まずLEDに関してですが、スリム化し、落ち着きのある明るさですね。私どもにとって「見え方」はとても大切なのですが、来客の皆様方に褒めていただいています。
やはり印刷会社様ですから、色の見え方が心配でしたのでLEDのデモ機を一年ほど仮設置した後、検証していただきました。
少し前までは蛍光灯に代わるLEDはほとんど直管型ランプのむき出しタイプでしたが、現在は、従来の半分程度の器具の薄さで見た目やコストパフォーマンスともに優れた器具一体型のLED照明が主流となりつつあります。天井面がすっきりし、まぶしさも少なく省エネ効果も高い。何より課題である色の見え方も損ねないため、これまでの環境と比較しても違和感がない空間になっています。

Miyaji
空調の効き具合などはいかがですか?
Miyaji
私どもは「紙」を扱っておりますので、温度や湿度に関しては一定量を越えないよう気をつけています。そのためにはエアコンをやや強めにかけないと「紙」が湿度によって伸び縮みしてしまうのです。また作業員の汗も禁物なんですね。
なるほど。確かに汗が紙の上に落ちると大変ですね。
Miyaji
それから「温度や湿度」と同じく「静電気」や「紙粉」も問題なんです。「静電気」は静電気除去装置で対策するのですが「紙粉」はエアコンの目が詰まりやすい問題がありますので、できるだけ目の細かいフィルターを使って、尚且つ高い頻度での掃除が不可欠です。
しかし、こちらの工場は天井が高いので掃除も大変ではないのでしょうか?
Miyaji
そこでフィルターが自動昇降できるタイプのエアコンを取付けました。なにしろ天井高が4mありますので、その都度足場を組むのは本当に大変ですから。
空調機器はフィルターの掃除をすることで効きが良くなり、消費電力量を抑えることができますので、こまめに掃除されるのは良いことですね。

Miyaji
酒巻社長のお話を伺っておりますと、デマンド値を下げるためにはハード面とソフト面両方の施策が必要だと感じました。
Miyaji
社員の努力もあって、デマンド値が約17%程度ダウンし、年間約120万円の電気代削減が実現できました。
素晴らしい効果ですね!
Miyaji
引き続きデマンド値の約20~25%ダウンを目指していきます。今回の取組みを、社員の更なる意識改革にもつなげてゆくつもりでおります。


電力会社は高圧受電のお客様に対し、30分最大需要電力計(デマンド計)の組込まれた電子式電力量計を取付け、計測しています。30分最大需要電力計は、電気の使用量を30分間計測し、平均使用電力(Kw)を算出します。その平均使用電力が30分デマンド値です。そして1ヵ月間算出した中で最大の30分デマンド値がその月のデマンド値(最大需要電力)となります。そのようにして12ヵ月間の中で、最も大きい値を出した月のデマンド値が基本料金の計算に使われます。つまり一度でも大きなデマンド値が出ると、1年間そのデマンド値が適用されるのです。

電気料金を下げるためには、デマンド値(最大需用電力)を下げることが必要です。

現在の教育関係印刷をベースに一般印刷や商用印刷を含む総合印刷を目指してゆきたい、と仰る酒巻社長。
守りに入らず、攻めの姿勢で、全社員が同じ方向性をもってやってゆく...というビジョンを楽しそうに語られる
御顔が印象的でした。

徳島ファクトリー営業課の加川課長と寺尾社員が自ら施工管理したエアコンやLED照明を案内してくれる際
の立ち振る舞いや、取材中の様々な配慮にはいつもながら高いプロ意識を感じました。

宮地電機広報 菅野 乃美

取材日 2014.5.11

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