2020年1月に「拉麺一方」をオープン。さらに、同年9月に「拉麺一方やすきや番地」をオープンさせた「あきちゃん」こと、川村章浩さん。お客様に安心して食事を楽しんでいただきたいとの思いから、高知県中小企業新型コロナウイルス感染症対策事業費補助金を活用し、非接触式洗浄トイレと自動手洗い機、除菌機能付きのエアコンを導入しました。
そのきっかけとなったのは、日頃から親しくしている宮地貴嗣社長のSNS投稿記事でした。長いお付き合いのお二人に、お話を伺いました。

新型コロナ感染症が蔓延する中、今年2店舗をオープンされました。感染症対策にもかなり力を入れておられます。

「やすきや番地」の方は、コロナ禍以降の9月オープンでしたので最初から感染症対策ありきで考えました。「一方」の方はまだこんなことになる前でしたから、衛生面にはしっかりこだわっているものの、コロナ対策の考えはなかったです。

今回、除菌機能付きのパッケージエアコンと、非接触式トイレ、自動手洗い機を導入されています。

ここは賃貸契約した際にはエアコンがありませんでした。店全体を1台で冷暖房できるようにしたいと大容量のパッケージエアコンを新設して営業をスタートしました。コロナ対策として、換気のために入口と裏口を開けるのですが、風が通りにくい間取りなので、夏場は暑くて暑くて。厨房に別途エアコンを付けました。換気のために換気扇も付けましたが、もっと効果的なコロナ対策をするためには、除菌機能がついているエアコンがあればいいなぁと思っていました。

エアコン

今回の「高知県中小企業新型コロナウイルス感染症対策事業費補助金」についてはご存じでしたか?

はい。県の補助金のホームページで知りました。制度を知ることは大事ですし、知識として持っておくことに損はありませんから常時見ています。早々に予算に達しそうだということも知っていましたが、今年オープンしたばかりだし、厨房のエアコンもつけたばかりで、どうしようかなぁと思っていました。

そして宮地社長のSNSを見て、弊社にご連絡いただいたのですね。ありがとうございます。

宮地電機さんがこの補助金事業をやっているのは知っていました。しかし、私は少し前から動いていたので、別の電気屋さんと話をする中で「医療施設がエアコンをどんどん入れ替えているので全然モノがない、補助金事業は工期が12月末までになっているが、それに間に合わない」と聞いていたんです。だから諦めていたのですが、8月22日に宮地社長が「できますよ」と投稿されているのを見て、「宮地電機には受け入れる余力があるんだな」と思って、すぐに連絡しました。朝の5時か6時だったと思います。締切の4日前のことでした。

あの投稿については、他にも数件問い合わせをいただきました。お役に立ててよかったです。

SNSの発信は、書き方が大事です。トップの発信が、税金を使う事業に対して「お得だよ!ジャンジャン使って!」という書き方だとちょっとマズイですよね。「今なら施工できます」という書き方は、誠実でよかったと思います。SNSは人物像が出ますよね。すぐに「あ!お願いしよう」と思いました。

トイレも非接触式にされています。飲食店としては、やはり気になるところですね。

ここは以前学習塾だったようで、トイレは洋式で、出たところに昔ながらの手洗いがありました。特に問題はなかったのですが、今回の補助金のメニューに、非接触トイレ・自動水栓の手洗いへの改修があったので、使わせてもらいました。トイレの蓋や便座、レバーに触れることなく手洗いも自動って、安心ですよね。でも、最後濡れた手をどうするか。ドライタオルが使えないので、資源的な問題はありますが、今はペーパータオルが安全です。今後の課題ですね。

お客様の反応はいかがでしょう?

トイレ

好評です。「すごい、トイレが勝手に開いた!」「アレ、いいね!」というお声をいただいています。ほかのラーメン屋ではここまでやっていなんじゃないでしょうか。 エアコンについては、暑い時期に快適な温度の中で、食事を楽しんでいただけました。除菌をしているというのは目に見えるものではありませんが、きっと感染のリスクは下がっているでしょう。お客さまや従業員を守るという意味で安心です。宮地電機さんにお願いしてよかったです。

ありがとうございます。先ほどエアコンについて、全国的に商品が不足していたというお話がありましたが、弊社で提供できたのはなぜでしょう?

やはりPanasonicさんが協力体制を敷いてくれたことです。弊社はPanasonicの四国最大の代理店であり、以前から協力関係が続いているので、十分に準備ができました。

上杉所長

パッケージエアコン、ルームエアコンは弊社の主力商品の一つですが、予め私たちが山ほど商品を作って「さあ!どうぞ」と言ってるのではなく、皆さまからの情報に基づいて製造するので情報提供が早ければ早いほど商品が揃いやすいと言えます。

お客様からの情報をいち早く入手して、それを我々メーカーサイドにフィードバックをしていただけるというのが何より助かります。

宮地電機さんは、お客様への最初の見積り段階から弊社の方に情報をくれて「これが受注できたらこのくらいの量になる」という数字を示してくださいます。今回の補助金対象商品に関しても、予め製造側にその情報を伝達しておくことができたので商品が揃ったという事ですね。

補助金に関しては、東京に渉外部があって各官公庁に営業に行っている関係で大枠の情報は入ってきていますが、今回高知県にこういう補助金が出た、という情報は宮地電機さんの方が早かったですね。

実は当初『高知県中小企業新型コロナウイルス感染症対策事業費補助金のお知らせ』を見ると、対象商品の中には《除菌、ウイルス除去装置》《ウイルス除去機能付き空気清浄機》《空気清浄機能付きエアコン》などがありましたが、弊社がオススメする《ウイルス除去機能付きエアコン》は、入っておりませんでした。

そこで事務局に出向き「ウイルス除去機能付き空気清浄機が認められるのであれば、ウイルス除去機能付きエアコンも認めていただけませんか」とお話し、ご検討いただいて、それも補助金の対象になりました。

それをすぐに宮地電機さんにフィードバックしてお客様へと情報発信を始めました。今回は本当に連携がとれた事例の一つだと思います。

書類
対談

あの時点でモノがあるってすごいです。宮地電機さんは、申請のお手伝いもしてくださるとのことでしたが、僕は元公務員なので自分で作成しました。実地検査もすべてOKで、申請から5日で交付決定が下りました。

補助金申請のお手伝いは弊社の得意とするところですが、今回は不要でした。

「何のために導入したいか」「導入したらどうなるか」を書くわけですから、お客様に快適に安全に一方のラーメンを食べてほしいという思いを書くだけです。あとは金銭的なことですが、そこはデータを見ればわかることですから問題ありません。その後は宮地電機さんの対応が早くて、エアコン設置工事が完了したのは10月4日でした。まだ暑い時期で、お客さまに涼しく快適な空間でラーメンを食べていただけました。

情報収納力に長けていて、日頃から勉強されていることが素晴らしいです。私の投稿にすぐに反応していただいてよかったです。スピードを要する案件に当社の社員も素早く動き、お役に立つことができました。その結果、一方さんのお客様に喜んでいただけて、私も嬉しいです。

「お客様のために」というお客様ファーストの視点は、お二人同じですね。

それですね。そういうのは、店構えに出ます。店に入ってどう思うか、お客様目線が大事だと思っています。スタッフにも「テーブルを拭くときは座って拭いてみてください」と言っているんです。そうすると、目につくところが変わってきますから。

なるほど、確かにそうですね。それは商品にも表れていますね。こちらのラーメンは、当初から無添加にこだわっていらっしゃいます。

僕は、自分の家族が食べても安心なものを提供しないと意味がないと思っていますから「無添加でおいしいものを作りたい」「ウチにしかできないことをやる」のが僕のプライドです。
たくさんのラーメン屋があり、お客様の好みもまちまち。その中で生き残っていくには、人と同じことをやってもダメ。誰でもできることと、僕にしかできないことがあって、両方ができるラーメン屋であるべきだと思っています。
味噌ラーメンの店でやり始めて、塩、醤油と増やしてきましたが、本当は味噌か塩かどちらか一本でやりたかったんです。でも、家族で来た時に、食べられない人がいるのはダメだと気づきました。だから、誰でもできることをやった上で、ウチでしかできないラーメンを出す。鶏ガラと野菜だけでスープをとった札幌味噌ラーメンは県内でウチだけですから、それは強みになっています。

社会貢献にも積極的で、子ども食堂も開催されています。

子ども食堂もいろいろあって、貧困家庭を対象にしているところもありますが、ウチはアレルギーに困っている人を対象にしています。次男にアレルギーがあるので、何を食べさせたらいいのか悩むお母さんたちに、同じ親としてこんな料理があるよと教えてあげたいんです。
昔は、アレルギーは好き嫌いの延長ぐらいにしか考えていませんでしたが、扱い一つで命にかかわるものだと知りました。子ども食堂では、鍋もフライヤーもトングも分けて、安全・安心な料理を出しています。

徹底されていますね。素晴らしい活動だと思います。

子ども食堂は、このこだわりの延長線上に「拉麺 一方」があるんだということを知ってもらえるのもよいところです。味を大事にしながら、無添加で取り組んでいることを理解してもらえます。実質、アレルギーの方が唐揚げを買いに来てくれるようになりました。

withコロナの時代、どう乗り切って行こうと考えていますか?

正直、コロナが終息しても、前と同じには戻らないと思ってやっています。これくらいの売上ベースで推移していくだろうと、ある程度覚悟しています。テイクアウトも増えていくでしょうが、外で仕事をする人、移動しながら仕事をする人にとって、テイクアウトの利用は難しいと思いますし、やはり飲食店は必要です。ただ、今の数ほどはいらないので、淘汰されていくでしょう。きちんと感染対策をしている、安全で安心して食事ができる店は残っていくはずです。ウチも残っていかなくてはいけません。

弊社もイタリア料理「LaVita」を運営しています。

食べることに関する仕事はなくなることはありません。今は大変ですが、絶対に必要な仕事です。形は変わるかもしれないけれど、食べることは人を幸せにします。誰かと会って、ごはんを食べながら話をする。この食事を介した人と人とのコミュニケーションはなくなりません。

今後のビジョンについてお聞かせください。

他とは違うことをやりつつ、ウチの店の特徴をしっかり把握して経営をしていきたいですね。常に「地域一番店になりたい」という目標があり、従業員にも話しています。
「拉麺一方」の店名の由来は、私の祖父の"川村一方"から来ています。祖父の名に恥じないよう地域一番店、つまり誰でも知っているランドマークになれる店となって、今は「国立病院に行く道沿いにある一方」ですが「ウチ?一方の近く」と言われるようになりたいです。

時代の変化に応じて...今ならコロナ感染対策を万全にされ、お客様を守ろうとされている一方さんに、その日は近いと思います。ぜひ頑張ってください。

○インタビュー:宮地電機 広報 / ○ライター:深田美佳 / ○写真:釣井泰輔「ツルイスタジオ

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