宮地電機は築174年の岡御殿を彩る「和のあかり」をプロデュース。2017年12月23日と2018年1月13日の2日間限定で行われました。田野町ふれあいセンターから岡御殿まで、幕末の灯りを再現したLEDの行灯や、岡御殿内にもLEDのキャンドルが灯り、ご担当の田野町教育委員会様とともに、歴史ある日本建築を幻想的な光で包み込みました。

———この度は、このようなイベントに携わることができて大変うれしく思っております。田野町では、毎年イルミネーションのイベントを行っておられるようですね?

公文様 はい。ふれあいセンターの前で「たのイルミ」を行っていました。「岡灯り」は、初日の12月23日と最終日の1月13日の2日間限定で実施しました。

———岡御殿はとても立派なお屋敷ですね?

公文様 こちらは江戸時代の豪商・岡家の屋敷で、参勤交代の際にお殿様が宿泊しました。もともとは米屋で、 材木業、質屋業、回船業などを行っていました。天保15(1844)年に建てられた、県東部で最高の格式をもつ建物で、 県の有形指定文化財となっています。幕末維新博の地域会場になっていることから、 初のイルミネーションスポットとして考えていました。

秋山課長 当初は「イルミネーションを...」というお話でした。けれども重厚な日本建築にはそぐわないのではないかということで、和のあかりとライトアップを提案させていただきました。

公文様 確かに和の空間に洋のあかりでは風情がありません。宮地電機さんにお任せしてよかったです。 こちらは文化財ということで火気厳禁です。その中で、ろうそくのようなLEDキャンドル(ルミナラ)のあかりは岡御殿の佇まいにピッタリでした。

高知施設・住環境営業課
課長 秋山 和徳

———ありがとうございます。ルミナラは配線要らずの電池式ですので、どこにでも置ける利点があります。炎のようなゆらぎも魅力的な優れた器具です。 外回りのあかりも配線なしの行燈で演出しましたが、初日の12月23日には光量不足でご迷惑をおかけしました。 急遽LED電球を見直し、小さな電球を複数点ける方向に変更し、点灯実験を行ってから実装させていただきました。 トライ&エラーを繰り返しながらも、1月13日には十分な光量で、想定通りの演出ができたと思います。

公文様 ありがとうございました。ルミナラも行燈も、置くだけで美しいあかりが得られるのは手軽でいいですね。 ただ、適当に置いてもダメで、やはり専門家の皆さまに指示をいただきながら配置したことがよかったと思います。

———お庭は行燈が幻想的な雰囲気を醸し出すとともに、大きな松の木がライトアップされているのが印象的です。

秋山課長 岡御殿を浮かび上がらせるあかりと、岡御殿の中で体感するあかりの2つが必要だと考え、ライトアップをご提案しました。 松の勢いのある緑色を見せたくて、はじめは白い光を当てていました。 しかし、LEDキャンドルや行燈のあかりと色のバランスが悪く、投光器具にオレンジ色のフィルムを貼って色を調節しました。

———通常、夜は閉館されているとのことですが、今回の催しに町のみなさんのご反応はいかがでしょう?

公文様 そうですね。来られた方は「きれいだね」と喜んでくださっていました。徐々にクチコミで広がって、町外・県外からも毎年楽しみに来てくださるようになればと思います。 この行燈は、今後ワークショップを行って、町民の手づくりで数を増やし、いろいろなイベントに活用できればと考えています。昨年から9月に「おばけストリート」というイベントを行っていますが、 それにも活躍しそうです。

宮地電機撮影

———それはいいアイデアですね。光を通して田野町が盛り上がっていけば私たちもうれしいです。 今回は初めての試みということでしたが、初日はお茶とかんば餅のお接待もあって、とてもあたたかな雰囲気でした。

公文様 かんば餅は地域特産のさつまいもを練り込んだ餅で、お茶は田野中学校の生徒が作った茶葉を使用しています。 中学校には何十年も前から続く茶園があって、生徒が代々丹精込めて栽培しています。 2回目の1月13日は地域のご婦人方がぜんざいとお茶のセットを販売してくださって、寒い中来てくださった方々に喜んでいただけました。

———JAZZを流すなど、雰囲気づくりにも取り組まれ、地域のみなさんに岡御殿の新しい魅力を知っていただけたのではないかと思います。

公文様 ここは貸館として、コンサートや結婚式の前撮りなどにもご利用いただいている施設です。 今回のイベントで初めて入った方もいると思うので、ますます「みんなの岡御殿」という認識が広がればうれしいです。

秋山課長 公文様が私たちの提案にご理解いただき、前例のないことに挑戦をしてくださったおかげです。大変意義のあるイベントをお手伝いさせていただきました。ありがとうございました。

公文様 「四国一小さな町だけど、デッカイ挑戦を!」をコンセプトにしています。幕末維新博も第2幕がスタートしますので、 さらに町一体となって盛り上げてゆきたいですね。

———今回学ばせていただいたことを生かし、改善・改良を行ってよりよい内容に進化させて参ります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

■「岡灯り」のライティング計画について

幕末維新博の地域会場でもある、重厚な文化財「岡御殿」をどう美しく見せるべきか...。 最初に浮かんだイメージは愛媛県内子町の観月祭でした。 岡御殿だけを演出するのではなく皆さまがそぞろ歩く道路をプロローグとして雰囲気を盛り上げ幕末へとタイムトラベルしていただければどんなに素敵かと。

公文様をはじめとする、田野町の方々の柔軟で前向きなご発想のおかげで実現できた
新しい田野町のお祭りです。

情報開発室 広報・デザイン課 課長 菅野乃美

■ギャラリー

○インタビュー:宮地電機 広報 / ○ライター:深田美佳 / ○写真:釣井泰輔「ツルイスタジオ」/ ○取材日:2018.01.13