「疾病の治癒から日々の健康維持増進まで」
~医薬品とニュートラシューティカルズ~を追求する大塚製薬様。
自らがユニークな会社であり続けるため、頑固な先入観を取り除き、創造的な人材を育成することを目的に設立された能力開発研究所に、環境に優しいLEDが導入されました。

———敷地の中にまるで森のような緑地帯があって、環境へのご配慮がなされていることが伝わって参ります。
大塚製薬様は、「低酸素社会の実現や循環型社会の形成」に取り組まれていらっしゃるそうですね。

深瀬 亮介様 大塚製薬株式会社 能力開発研究所 所長

深瀬所長 弊社は製造業として、製品を通じた環境への貢献に努めています。環境配慮型製品と呼んでおりますが、製造から販売、廃棄に至る過程すべてで環境負荷の低減を実現するような製品の開発に取り組んでいるんです。
例えば、容器の軽量化という点では、2007年にそれまでの「ホット充填方式」から「陽圧無菌充填方式」を採用し、ポカリスエット500mlのペットボトルの軽量化に成功しました。これはペットボトルが薄くなり、材料が少なく済むだけではなく、生産過程で熱の発生をカットするなど、二重に環境負荷を軽減できるものです。その他ラベルや包装材、陳列什器に関しても改良を進めています。

———包装材にまで環境への配慮がされているんですね?

深瀬所長 はい。大塚グループでは1921年の創業当時から包装の品質にもこだわっており、「品質最優先」が考え方の軸となっております。

そして循環型社会形成を目指して、古くは輸液のボトルをプラスチックからフィルムに変えるなど、廃棄物発生の抑制、リサイクルの推進、最終処分量をゼロに近づけるゼロエミッションに積極的に取り組んでいます。もちろん3Rにも積極的な取り組みをしています。

「3R」・・・Reduce(リデュース):減らす/Reuse(リユース):繰り返し使う/Recycle(リサイクル):再資源化

低酸素社会への取り組みとしては、省エネルギーの推進や資源の生産性の向上により二酸化炭素の排出を抑制しています。

——— 能力開発研究所に入ってすぐ視界に飛び込んでくる、まるで空中に浮かぶ巨大なトマトの木について教えてください。

深瀬所長 私どもは、常に独創的なもので世界の人々の健康に貢献してゆきたい、という理念を持っています。しかし、独創的なものは簡単には出来ません。現在の延長でものを考えないことが重要です。そこで、大塚明彦会長が"発想の転換"を社員に伝えようと設置したのが、この《巨大なトマトの木》です。 こちらは、ごく一般的なトマトの品種です。その植える場所を土から水へと、発想を転換させたんです。すると、固い土のストレスから開放されたトマトは多い時で年間一万個以上の実をつけるようになりました。既成概念に縛られないことで潜在能力を引き出すーこのトマトの木にはそんなメッセージが込められています。

———敷地内に様々なオブジェやモニュメントをお見受けしますが、他にもメッセージを放っているオブジェなどございますか。

深瀬所長 樹齢100年の杉の巨木を、一年かけて曲げて作ったオブジェがあります。"杉は真っ直ぐである"という固定概念を揺るがす作品です。そして、浮かぶことのない大きな石が水面にいくつも浮かぶ《水の石庭》は、"石は水に浮かない" "石は固い"といった常識を覆す作品です。これらのものを通して、創造性や発想の転換の重要性を伝えています。

ふじい 忠一 作 「 無題 」
速水 史朗 作 「 水の石庭 」

——— 多目的ホール「ヴェガホール」という名前は、新しい世界との出会いを象徴して名付けられたそうですが、それは社員の方々のための施設なのですか。

深瀬所長 ヴェガホールのある能力開発研究所は、大塚製薬の企業理念を社員に伝える教育施設ですので、会社の行事がメインとなります。しかし、年間を通して休日は、地域の方々に無料でお貸ししております。

———無料で?!...なかなか出来ることでは無いと存じますが、地域の方々を大切にされているんですね。

深瀬所長 大塚製薬は徳島で生まれた企業です。グローバルになればなるほど徳島にアイデンティティを感じており、地域に貢献したい、という思いがあります。このエリアには施設が少なく、上質なコミュニケーションを持てる場が少ないので、少しでもお役立ちできるといいですね。

———  能力開発研究所のLED化は、環境へのご配慮もあってのことだったのでしょうか。

深瀬所長 もちろんそうです。大塚製薬徳島第二工場全体の課題としても、電力の削減は掲げられています。逆サマータイムを導入したり、ということも含め、工務課担当者を中心に検討を重ねていましたが、電力削減を考えた時にLED化の優先順位は高かった。そこで実施に踏み切りました。

———大規模な施設なので、段階的に、エリア毎にLED化されたそうですが、全てをLED化というお考えだったのですか。

深瀬所長 こちらは見学施設ということもあり、人感センサーも導入しましたが常時点灯させているエリアも施設の大半を占めるため、LED化は急ぐべきだと考えておりました。そして使用頻度等を基に検討を重ね、3期に分けて3年をかけ、照明リニューアル工事を実施しました。よく利用する居室エリアから交換をはじめ、お客様をご案内するエリアへ。最終的には研修施設エリアの工事へと進めました。

勢登係長 今回は全てLED化したわけではなく、一部はインバータ式の蛍光灯への取替えなど、優先順位の高いエリアからの段階的なLED化です。

———非常にクレバーな導入の仕方をされていると感じました。

深瀬所長 LED化の投資金額は安いものではありません。費用対効果を考えての導入を実施しています。

勢登 和好様 大塚製薬株式会社 生産本部 徳島第二工場 工務課 係長

——— 施工方法・器具の選定について教えてください。

加川課長 今回の照明リニューアルでは、できるだけ既存の天井開口をそのまま利用したいとお聞きしていましたので、同じ開口寸法で効率の良い器具を選定するため現地調査して確認する必要があったんです。

三和電業:南口主任 同じ開口寸法を目指したのは、天井材をさわらなくて済む→つまりは部屋を汚さない→結果的に工程短縮になる、からです。そのあたりの事情を加川さんが理解してくれていたので、器具選定は慎重ながらも最短の方法でゆけたのではないかと思います。

深瀬所長 そうして出来た図面を元に、我々も一緒に、デモでその都度確認しながら最適機器を検討し、交換できました。

加川課長 宮地電機としてもデモンストレーションにこだわるのは、取替え後の印象・・照度や色温度や配光を含めた雰囲気がOKかどうかの確認を取りたいためです。

三和電業:南口主任 今回のデモは特に綿密に行いました。メーカー別・色温度別・ビーム角別など一ヵ所に対して6パターンデモすることも珍しくありませんでした。これが一番苦労しました。

加川課長 それがホワイエのデモを行った時、立ち会ってくださった5~6人のご関係者のイメージが共有できた、と感じた瞬間があったんです。

三和電業:南口主任 その場にいた全員のコンセンサスが得られた瞬間でしたね。

加川課長 そこからポイントが分かってきたので、デモ機の数が絞れたんです。それからは3パターンほどで決定できるようになりました。


加川 達也 宮地電機株式会社 徳島ファクトリー営業課 課長

——— 工事期間などで問題はございませんでしたか。

深瀬所長 こちらは毎日たくさんの方が利用される施設です。 お客様方のご利用に合わせた運用をしております。その点、施設の貸し出し状況に合わせて工事スケジュールを組んでいただくことが出来、助かりました。

勢登係長 工事を予定していた日に急にお客様がお見えになったときは工事スケジュールを調整してくれたり、急にお客様がお見えになったときは工事を中止してくれたり、どんな対応もしてくれたので助かりました。

三和電業:南口主任 工事期間を短縮し、各部屋の使用が1日でも早く出来るように工程立案・打合せに時間をかけましたした。

加川課長 南口さんは、少しでも不安要素や不確定要素があれば、中途半端にしたくないというお考えから打合せを綿密にして調整されていましたから。そのような姿を見てとにかく宮地電機としてもお客様である大塚製薬様や三和電業様の運用や施工のお邪魔をしてはいけないと。お客様に差し障りなく、というのが大事なテーマでした。

深瀬所長 業務時間内に行っていただく工事に関しては、騒音等のご配慮も頂きました。予定通りの作業進捗で特に問題ございませんでした。

― 最後に、LED化された箇所の印象はいかがですか?

石川様 日中はそれほど感じないけど、夜間はとても明るく感じます。特にトマトホールは夜、ライトアップされた時に明るさで驚きました。毎日帰社の際にライトアップされた外観を眺めて帰るのですが、キレイですよ。

勢登係長 トマトホールは予想以上にキレイになった印象があります。雰囲気がすごく良くなった。今回のLED化の中で一番達成感がありますね。

深瀬所長 LEDの電球色がいいですね。LEDの進化も日進月歩ですので、この3年間で更に技術が進み電球色の種類も選択できるようになりました。だから最適なものが選べたのだと思います。これからも、施設の老朽化対策、能力向上対策を常に考えて計画的にLED化に取り組んでいければいいですね。

石川 雅美様 大塚製薬株式会社 能力開発研究所 大塚ヴェガホール