間接照明で照らす心地よい空間
建物の解体工事を手がける、株式会社リョウ様。高知市内の元歯科医院のビルを購入し、事務所と住居を兼ねた建物に改修しました。 当初は「少し手を入れて」と考えていましたが、弊社の提案を取り入れていただき、大々的なリノベーションとなりました。この案件には、広報・デザイン課長の「照明プランナー」としての活躍がありました。
——— とても素敵な事務所とお住まいですね。事務所はすっきりとしたあかり、住居は間接照明を多用していらっしゃいます。ここはもともと歯医者さんだったと伺いましたが?
岡村取締役 はい。歯科医院だった2階を事務所に改修して、3階・4階は少し手を入れる程度で住めると思っていました。いろいろな人の意見を聞きながら自分なりに考え、一括して工務店にお願いするやり方ではなく、それぞれ信頼する専門職の方たちにお願いしました。 施工は竹内棟梁に、照明は宮地電機さんにお願いして進んでいましたが、紆余曲折あって大掛かりな改修をすることになったんです。
——— その経緯をお聞かせいただけますか?
岡村取締役 もともと広報デザイン課長の菅野さんとは異業種交流会を通じての飲み仲間で、プランニングは菅野さんにお願いしたいという気持ちがありました。菅野さんのご自宅に招かれた際に、間接照明を巧みに使った雰囲気のよい空間がとても気に入って、自分もこんな家に住みたいと思ったんです。そこで同じ宮地電機ということで、以前からお付き合いがあった施設・住環境営業部の田所さんを通じて、照明一式の設計を菅野さんにお願いしました。「設計は菅野さんで」とお願いして。
——— 菅野課長は間接部門の仕事なので、通常は照明設計などは担当してませんよね?
菅野 はい。田所主任も最初は戸惑ったのではないでしょうか(笑)。照明設計は私の本来の仕事ではないですし、私が設計をお引き受けするとは思っていなかったと思います。ご指名していただけたとはいえ、お引き受けしてよいものか考えました。しかし、岡村様のご判断を私自身も信じようと。そしてご期待に沿えるよう取り組みました。
岡村取締役 菅野さんが持ってきたパース画を見て、私が「これだ!」と思ったのはもちろんですが、竹内棟梁が「これならわざわざ宮地電機さんを指名した意味がわかる」と首を縦に振りました。天井にも壁にも新たな工事が必要となりましたし、電気の配線も繁雑です。ですが、「電気屋さんには僕からお願いする」と言ってくださって、とても前向きに取り組んでいただきました。
——— このパース画をご覧になって、菅野課長の考えるあかりのイメージが伝わったということだと思います。実際はさらに魅力的なあかりになっていますね?
菅野 事務所も住居もすべてLED照明で、ダイニングとリビングは、LEDの光源を2種類使った間接照明です。白い光とオレンジ色の光を切り替えることで、清々しい朝の光と夜のくつろぎの光を演出できます。光量の調節もできるので、新聞や本を読むときには明るく、お酒を飲んだりDVDを観たりするときはあかりを落としてお使いいただけます。 このような調光調色をすることで、暮らしにメリハリのあるリズムが生まれます。
また、ダウンライトも併用していますが、そのほとんどは角度がつけられるユニバーサルダウンライトで、壁面を照らすことにより部屋全体にあかりをまわしています。
岡村取締役 「こんな雰囲気のあかりにしたい」と思っても、どうすればそうなるのか素人にはわかりませんし、どう伝えたらいいかもわかりませんでした。今回、間接照明にもいろいろな方法があること、照明はただ明るく灯ればいいというものではないとわかりました。その時々に合うあかりがあるということで、脱衣室、浴室、寝室にも菅野さん流の間接照明を取り入れています。
菅野 寝室には洗面台をつけたいというパートナーの方のご意向があったので、鏡のまわりにも2つの光源を持つLEDライトを配し、昼のあかりと夜のあかりが得られるようにしました。昼間は白いライトで、夜はオレンジ色のライトでメークすると、その時間帯に合ったお化粧に仕上がります。室内は天井のあかりが視界に入って眠りを妨げることがないよう、枕元に読書灯を兼ねたスタンドライトを設けています。
岡村取締役 もともと3階と4階が内階段でつながった住居でしたが、今回は3階を住まいにして4階をパーティールームにしました。 ゲストが気兼ねなく出入りできるよう入口を住居と別にし、外階段にしました。
この部屋も最初はダウンライトが並ぶ予定でしたが、菅野さんの設計によりお酒を楽しむオトナの場にぴったりな照明にしていただきました、ワイングラスのハンガーの上にライトが仕込んであり、点灯するとグラスが輝いてとてもきれいです。テレビの後ろにも間接照明があり、大画面で映画を観るときには目に優しく、見た目にもスタイリッシュ。とても良い空間になりました。友達を呼びたくなる、見せたくなる、自慢したくなる家ができました。
菅野 ありがとうございます。3階のリビングに置いているイタリアの照明器具「アルテミデ」シリーズも高知ではとても希少なものですので、ぜひ自慢してください(笑)。
——— お2人の親しいお付き合いがあってこそ実現した照明だと思います。お2人にとっても、宮地電機にとってもよい結果になったのではないかと思いますが?
岡村取締役 確かに、菅野さんの家に遊びに行ったことがすべての始まりでした。
私にとっては最後の家づくりで、思い通りのものに仕上げたいと思っていました。菅野さんに入ってもらって、その気持ちがますます強くなり、現場の皆さんには無理なお願いもしてきました。結果、当初考えていたよりもずっと良い家になりました。本当によかったです。
菅野 自宅の照明設計はしましたが、お客様のお家を設計させていただくのは初めてのことでした。岡村様にも棟梁にもご理解いただき、完成することができて本当にうれしいです。
実は、弊社の社員は293人のうち205人が照明コンサルタントの資格を持ち、149人が照明士の資格を持っています。 普段、照明設計の仕事には直接携わっていない社員もたくさんいます。しかし、その中にはおもしろい設計ができる人もいると思いますし、現場で働く社員をサポートする力も高いでしょう。 宮地電機の社員として、色々な場面でお客様のお役に立ちできる「財産」だと思っています。
——— まさに「人財」ですね。今後は菅野課長をはじめ皆さんに、照明設計士としてご活躍の機会が広がってゆくかもしれません。
菅野 我々にとっても非常に有意義な経験でした。今後は部署間の連絡を密にし、可能性を拡げてゆきたいと思います。
——— 新しい可能性が見つかりました。今日はお忙しい中、ありがとうございました。
竹内建築 竹内伸 様
楽しかった!というのが僕の感想。照明であの家が変わったね。いつもは僕が照明設計まで やっているのですが、今回は施主の岡村さんから「照明は宮地電機に頼みたい」と言われて どんなのが来るのだろうと思って待ってました。菅野さんのプランが出てきてデッサン(パース画)を見た瞬間イメージがパッと浮かびました。これならわかる!と。色々な新しい発見もあった。だから楽しい現場でした。
今回私の、専門知識も万全とは言えない感性型の設計が成立できたのは 担当者である田所主任の力量と度量があってこそだと痛感しています。
デザイン優先のプランに、照度不足はないか?耐久性は大丈夫か?などさり気なくフォローが入りとても心強く感じました。お客様や現場の職人の方々との連携も素晴らしく、同じ社員として誇りに感じる仕事ぶりを体感することができました。
宮地電機 広報 菅野 乃美
株式会社リョウ
〒780-0064 高知市和泉町2番26号 TEL(088)821-6608 FAX(088)821-6609
○ インタビュー/文章 深田美佳