景観に配慮しながらも安全を確保。
香川県で最も小さい市町村である宇多津町は、ところどころ古い町並みが顔を覗かせる港町です。
その中心に位置する宇多津町役場から北へ入ると、住宅街の中に遊歩道が現れます。公園も隣接するこの遊歩道は風の吹き抜ける心地よい空間ではありますが、日没後は住宅街の死角として、ともすれば人を寄せ付けない静寂が包むことは想像に難しくありませんでした。
ただ明るくするだけでは、遊びながら歩く「遊歩道」としてはすこし寂しい...。
景観に配慮しながら、安全を確保する。そこには、図らずも「遊び心」が必要です。あえて光源の高さを変えてみる。
Multi LEDs ウッドポール灯の低いタイプと高いタイプを混在させることにより、ランダムな光の広がりを楽しみます。画一的でない、多様な景色を演出することでいつまでも歩きたくなる小径が生まれました。
古い街並みと新しい街並み。2つの魅力を併せ持つ町、宇多津町。
かつて、我が国最大の「塩の町」として栄えた香川県宇多津町。その製塩業も時代の流れと共に消えてゆきました。そして広大な塩田は埋め立てられ、瀬戸大橋完成を機に新宇多津都市ともいうべき新しい街に生まれ変わりました。
宮地電機は、照明のプランナーとして宇多津新しい街づくりプロジェクトに参加させていただいています。
宇多津町は香川県内で面積が一番小さい自治体ながら、街を東西に貫く県道33号線を境に、全く違った2つの顔を持っています。道の北側は、大型商業施設やマンションが立ち並ぶ「新都市」。南側は、歴史を感じる寺社や古い町並みが残る「既成市街地」。
宇多津町の行政は、この新旧の両地域を大切に守り、その良さを最大限に生かすべく住民と共に町を育んでいます。全国でも、これほどまでに行政と住民が協力し合って進んでゆくプロジェクトは他に類を見ないでしょう。
「新都市」は、現代的な空間にあった照明で「交流とにぎわいのあるまち」というテーマに沿った活気のある街に進化しています。そして「既成市街地」は、町並みに調和する電球色の照明を採用し「住みたいまち」というテーマで、昔から守られてきた町の良さを守りつつ穏やかな町並みになりました。
住民が主役の街づくり
宇多津町の古街は、遷座1200年を迎えた宇夫階神社から町役場・西光寺周辺を中心に町屋が広がる一帯です。その佇まいには、どこかしら懐かしさを覚えます。そんな宇多津の古街をもっと良くしてゆこうと、2003年から始まった「宇多津まちづくり委員会」。その中の"古街あかり計画"に、宮地電機は参加させていただきました。"古街あかり計画"の目標は、古い町並みを残しつつより魅力的な街にしてゆくこと。「日本が誇るあかり文化を古街で再現しよう・・・」との委員会の皆さんの思いを一つに進みました。
まず最初は、照明の基礎知識の勉強会から!
通常、照明のご提案をする際に、照明の基礎知識から勉強される方はほとんどいないのですが・・・。それだけに皆さんの思いの強さが分かります。ランプの実物を委員会に持ち込んで、何度も実験と検討を繰り返しました。
1.宇夫階神社 2.宇多津町役場 3.西光寺 4.三角邸
そしてLED照明へ
そんな試行錯誤の中、皆の意識が自然とLED照明に・・・。
CO2削減、省電力、長寿命とLED照明には魅力が満載!ということをご理解いただけたようです。
長く充実した時間を経て、まちづくり委員会の皆さんは、納得の後、電球色のLED照明の採用を決定!してくださいました。
古街は、最新のLEDの照明を使って、古来からの温かな光色を実現しました。
「住みたいまち」というテーマどおり、昔から守られてきた町の良さを残した穏やかな町並みになりました。
町家
古街には、昔ながらの味わい深い家々が並びます。その外観も街の雰囲気には欠かせない大切なアイテム。町屋に実際に暮らしている住民の皆さんのご協力のもと、家々から漏れてくる"あかり"が宇夫階神社への参道をほのかに照らし、あたたかく懐かしい古街の風情を醸し出します。
三角邸
倉の館三角邸は、昭和初期に贅をつくして建てられた近代和風建築として、貴重な存在で、国の有形文化財に登録されています。長さ50mにも亘る塀は、高さ約1.8m。板と漆喰で出来ていて趣があります。その屋根の内側にLED照明を仕込みました。この長い壁面を照らすことによって、街をほんわりと優しいあかりで包みます。
西光寺
地元の方々に親しまれている西光寺の塀沿いにタイヤ止めとして御影石が敷設されました。その隙間にLED照明を配置。足元からのあかりで、暗い夜道も安心です。低い位置のあかりは、人に安心感を与えます。特に、西の角の照明は、LED防災ライト"ぐらっパ!"を採用!災害などの停電時も電源がバッテリーに切り替わり2晩まわりを照らします。「西側に民家が多いので、住民の方が災害時、安全に非難できるように」と決められました。周りに暮らす方々に配慮した心のこもったあかりです。
宇多津の四季を光で演出
恋人たちの聖地 - 宇多津臨海公園にある産業資料館「うたづ海ホタル」をLEDスポット32台でライトアップしました。色鮮やかな、動きのあるライトアップで街のアクセントになっています。
8パターンのカラー演出から季節やイベントに応じて、最適な光のデザインをチョイスし、集う人々の目を楽しませています。平成21年度には、四国照明賞を受賞しました。
演出照明用のライトに取付けられたR(赤)・G(緑)・B(青)3色のLEDを、目的とする色に合せて様々な比率で合成するため、約1670万色もの演出が可能!
コンセプト ~2つの「楽しむ」~
彩りを楽しむ 季節に合ったシーズンカラーを使って演出。
動きを楽しむ テーマ毎の特徴に合わせた動きを演出。
季節毎にテーマカラーを設定。グラデーションの時間設定は、見ている人が飽きない時間、歩いている人が、見る度に色が変化していると興味を持ってもらえるような演出をコンセプトに、カラー設定をしました。
デモンストレーション
プラン書とCG動画でのプレゼンテーションを行いました。プランの内容は、 建物の中に壁を造りLEDスポットでライティングする。施主様、設計事務所様の立会いの下、デモンストレーションを行い、ご採用を頂きました。
↓テーマ別に演出した「彩」と「動」の実際の映像をこちらよりご覧ください。
CG動画を作成しました。
宮地電機では、プレゼンテーションにCGを積極的に取り入れています。うたづ海ホタルでは、CGに加え、動きや色の変化をわかりやすく伝えるためにCG動画も作成しました。CG動画は、テーマに沿った色の移り変わりや、動きなどを確認していただけるので、施工前と施工後のイメージのズレを最小に抑えられます。作成したCG動画はプログラムする方にもわかりやすく
伝えることができるので、お客様の要望通りの光の演出が実現できました。