僕らの仕事はお客様の「暮らしの場所」「働く場所」「楽しむ場所」を心地よく整えること。 未来のことも考えて…僕らが、お客様とともに創りあげた導入事例を紹介します。
2009年3月、東京にあるカラーキネティクス・ジャパンで、一台のLED照明のデモンストレーションが行われました。その場にいた森下昌治(施設デザイン営業部長)が感じたことは「これはすごい!大きな建 物のライトアップに十分使える!」。 そして、すぐさま頭をよぎったのが松山市のシンボル「松山城」のライトアップでした。
松山に帰った後、森下と田部泉(弊社照明・LED担当室長)が向かったのは、松山市の松山城管理担当部署。 現状をヒアリングの後、プレゼンテーション提出の了解を得て、本格的な調査に入りました。 出来上がったプレゼンテーションのコンセプトは、「CO2の削減」と「光のデザイン」。 CO2削減によるイメージアップとLEDならではの光の演出力をメインにお話しさせていただきました。
その日の夕刻、説明を聞いてくださった職員の上司の方から「もっと詳しく聞きたい」とのお電話を いただきました。そこから話は一気に前進し、「全国のお城の中で松山城をLEDライトアップ第一号 にしたい!」のお言葉をいただきました。 その後、松山城管理担当者の方々の強い思いが議会承認につながり、実施設計へと進んでゆきました。
設計に当たり最も苦慮したことは、照明制御のために敷地を掘削したり新たな配線を施すことが許されないこと でした。これは松山城が重要文化財であるためです。そこで、複数のLED照明を無線で制御するという初の試 みを行いました。 さらに、器具を設置する照明柱の問題がありました。当時、経過年数や新設するLED照明の重量を考慮すると、 照明柱もリニューアルすべきであろうという話になったのです。一本のコンクリート柱にLED照明を配置するた め、その設計強度の決定には最大級の配慮が必要でした。
設置後の照度測定の結果、天守部分の照度は 従来の水銀灯と同レベルの明るさを維持していました。 290WのLED投光器15台で、1000W水銀灯37台の 場合と大差ない明るさを満たしており、省エネルギー に貢献していることがわかります。 実際に、電気代も試算相当の削減であることを確認し います。また、LEDは紫外線が少ないため、以前に 比べて投光器への虫の寄り付きが少なくなり、お城の劣化対策にも貢献しています。
採用の決め手のひとつとして、自由に光色を変化させられるというLEDならではの 特徴が挙げられます。これまでは年2回のイベント開催時に、水銀灯にカラーフィルター を取付けて光色の変化を演出していました。その費用は数百万を要していました。 LEDなら灯具に触れることなく、1ヵ所のコントローラー操作でカラー制御が可能です。 現在、通常時は白色で天守を照射し、夜の消灯時はゆっくりとフェードアウトするプロ グラムを組んでいます。また、光のカラーにはメッセージ性を持たせており、愛媛FC のホームゲーム前日には松山城をチームカラーのオレンジ色にライトアップすることで、 市民へのゲーム告知にするなど、地域と一体化させるような演出をしています。
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