2017年3月4日から始まった、「志国高知 幕末維新博」に伴い、映像・音響関係の設備をリニューアルした高知市立自由民 権記念館。自由民権記念館に最もふさわしい上質の音響と映像を実現するため、最適な機器の選定とシステム構築を行い、納 入しました。
Miyaji
今回は貴館のリニューアルに関わらせていただき、とても光栄に存じております。 まず、今回のリニューアルをお考えになったきっかけについて教えてください。
Miyaji
ここは平成2年にオープンし、土佐の自由民権運動に関する史料を中心に展示しています。 開館から27年が経ち、設備が老朽化して不具合が出始めたこと、 映像を用いたわかりやすい解説へのニーズが高いことなどから、数年前から改修を検討していました。 同時に、映画の上映会を行ったり、アトリウムでコンサートを行ったり、 地域のコミュニティ施設として人気が高く、その文化施設としての質的向上も図りたいと考えました。
Miyaji
大変立派な施設ですね。今年は「志国高知 幕末維新博」の開催に伴って、 来館者も多いのではないかと思われますが。
Miyaji
はい。その幕末維新博の地域会場の一つになっていることから、 県から観光資源のブラッシュアップという形で環境整備のための補助を受けることができました。 今回、映像・音響機器の更新を行いましたが、今後は映像コンテンツも新しくしてゆく予定です。
高知市立自由民権記念館
館長 / 筒井秀一 様
Miyaji
観光客の方々はもちろんのこと、我々市民・県民にとっても楽しみです。 1階は、映画上映もできる「民権ホール」、コンサートができるアトリウムロビーなどの コミュニティスペース、2階が展示スペースになっているのですね?
Miyaji
はい。県内外の方々に気軽にご利用いただける施設です。アトリウムは、 昼間はカフェを運営しており軽食メニューが充実しています。カフェはどなたでも自由にご利用いただけます。 1階ロビーの階段を上ったところが展示室の入口となり、 自由民権運動の解説や次回の企画展の告知などを大画面で流しています。
Miyaji
そこで流している映像の音声を、階段下の限定されたエリアに立った時にだけ聴こえる方法で流しています。 カフェは人々がくつろぐ空間なので、大音量は流せません。 階段下のエリアを通る時だけ確実に耳に入り、階段上の映像へと意識を誘導します。
Miyaji
具体的にはどのような方法ですか?
Miyaji
ある一定の方向だけに音を飛ばす、超指向性スピーカーを採用しました。
Miyaji
なるほど。この解説に導かれて階段を上がると映像が見られ、展示への関心が高まる仕掛けですね。
Miyaji
はい。階段を上がってスピーカーに近づいても音は大きくならず、 一定のボリュームで聴こえるように調整しています。
電材住建営業部
高知支店 課長 / 堀内辰男 電材住建営業部
高知支店 主任 / 梅木栄彦
Miyaji
以前ここは、スクリーンに背面から投影するタイプの機器を使っていましたが、 投影するためのスペースがデッドスペースになっていました。 今回、完全にバックヤードにし、天井にデジタルサイネージのプロジェクターを取り付けました。 先人を紹介するビデオを流したり、企画展の案内をしたり内容を自在に変えることができ、 150インチの大画面を有効活用できます。
Miyaji
プロジェクターについてはサイネージ用として毎日稼働するため、 ハードユースに対応したレーザー光源となっています。 また音声については個々の空間を活かせるように配慮しました。
Miyaji
確かに、階段下からスクリーン前まで音色が非常に鮮明ですが、 近づいても音量は一定とは、すごい技術です! 2階には映像で自由民権運動を知る映像展示室があり、 そちらも改修されたと伺っています。
Miyaji
はい。通常は天井からぶら下げたり床に置いたり、 スピーカーがあちこちに点在するようなレイアウトになりますが、 より集中して楽しんでいただけるようスクリーンとスピーカーを一体化しました。 大変趣向を凝らした作りの会場なので、雰囲気に合うような意匠にこだわりました。 スクリーンをぐるりと額縁のように囲って際立たせるとともに、 スピーカーを目立たないようにしたのもそのためです。
Miyaji
確かに、スクリーン部分が強調され、浮かび上がって見えます。音響もよく、 「ゆっくり観たい」という気持ちにさせる空間ですね。
Miyaji
文字だけの解説ではなかなか理解ができないことも、 こちらの映像で知識を得てから実物や展示を見ていただいた方から、
「よくわかる」と好評です。歴史的な展示は、美術品と違って細かな情報を付さないとわかりませんから。 また、県内には歴史系の博物館が複数ありますが、 展示する現物は一つしかありません。共有するためには映像に頼らざるを得ないものもあります。
Miyaji
そうですね。お城の下にも新しい博物館ができ、映像史料も豊富です。こちらの自由民権記念館でも新しいコンテンツを作成されるということで、 今後の展開が楽しみです。1階の方も大きく手を入れられたのでしょうか?
Miyaji
はい。映画の上映を行うことができる「民権ホール」のシステムを大々的に改修しました。200インチの大画面に、 プロジェクターで高解像度の美しい映像を映すことができます。 スピーカーはアトリウムでのコンサートに使用できるよう、可動式のものにしていただきました。
Miyaji
なるほど。コンサートの時にはアトリウムロビーに移動させて使用するということですね?
Miyaji
こちらのスピーカーも、垂直方向のカバー範囲をコントロール可能なものを採用しました。 ホールとアトリウムでは音の伝わり方や響きが違うので、どちらにも対応できるものにしました。 アトリウムは吹き抜け天井で音が拡散しやすいのですが、お客様の耳の位置を狙って音を出すことが可能です。
Miyaji
ホールは144席。貸出もしておられるとのことですが、出力のオペレーションも借主が行うのですか?
Miyaji
そうです。デジタルミキサーを導入し、ボタン1つで誰でも操作できるよう、 あらかじめプログラムしています。講演時の録音や、プレゼンテーション時に次のスライドを 確認できる設備もあり、利用者の利便性を高めるよう考慮しました。
Miyaji
これは利用者が増えそうですね。
今回の案件では、機器選定・施工など、さまざまなご苦労もあったのでは?
Miyaji
弊社単独としては、これだけの音響・映像設備を手掛けたのは初めてです。 最新の機器を選定して試行錯誤しながら、それぞれに合わせたシステムを構築しました。 また、今回は展示室や階段上の壁を作る作業など、現場合わせで施工するという大変さを思い知らされました。
Miyaji
今後もたくさんの現場を手がけて知識と経験を増やし、しっかりとコンサルティングを行って、 最もよいシステムを実現できるよう努めてゆきます。
この度、幕末維新博(平成29年3月4日~平成31年3月31日)の開幕に伴い、 民権ホール・民権座・階段上の映像の音響および映像機器などを一新しました。 実は施設利用(貸館)にも影響が出るほど老朽化していたのです。 民権ホールは、DVDデッキ不良により映像が映らない... ワイヤレスマイクは使用中に突然音が出なくなる... 民権座はプログラム通りの映像が流れず突然止まったり、イベントなどの実施時に止めたりすると、 次回立ち上がらなくなる...階段上の映像に至っては故障が多かったため、稼働させていませんでした。 しかし、機器更新後は利用してくださったお客様から「マイクの音も映像もキレイになって良かった!」 などの声をお聞きし、職員一同とても喜んでいます。 現在はスムーズな運営ができており、お客様満足度の向上、稼働率UP、 また今後さらなる運用へと繋がってゆくと考えています。
(左)濱﨑譲二 様 (右)細川直美 様
自由民権記念館の指定管理者として運営を委託されている。


平成2年にこの自由民権記念館が設立された時、建築の斬新さ美しさに驚いたことを憶えています。 時を経て館内に足を踏み入れた時、変わらぬ建築の美しさに改めて驚きを感じました。 燦々と外光が降り注ぐアトリウムロビーから薄暗がりの展示空間までのスムーズな導入には、 新たな音響と映像が欠かせない要因になっている事を感じられた取材でした。
宮地電機 広報 菅野乃美


○ ライター 深田美佳 ○ 取材日 17.03.14

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