Miyaji
今回、20周年を機に大々的なリニューアルをされたそうですね?設計・施工監理まで全ておまかせいただいたと聞いております。
Miyaji
60名の利用者がいる本館は20年前に建てられたもので、老朽化が進んでいました。いかにも施設という感じの暗くて寒々しい昔ながらの建物で、安全面にも問題が生じていました。 利用者さんの生活の場として、安全かつ明るくあたたかみのある内装にしたいと思い、「脱・施設」をコンセプトに改修を計画しました。 知り合いの方に宮地電機さんをご紹介いただき、当初は照明のLED化の部分で阿古目さんに相談していましたが、内装もすべてご提案いただけるということでお願いしました。
Miyaji
正直なところ、電機会社なのになぜ?という疑問はありませんでしたか?
Miyaji
阿古目さんの名刺に「カーテンマイスター」とありました。お話の中で、高松にインテリアデザインの専門部署があり、家具やカーテンなど幅広く手がけていらっしゃることをお聞きしました。 通常でしたら建築設計事務所にお願いするところですが、永易さんにもお会いし、私たちの求めていることに応えていただけると感じました。
Miyaji
打ち合わせからプランニング、実際の工事、完成まで、どのように進められましたか?
Miyaji
最初は、傷んでいるところのチェックから始めていただきました。その後、2013年8月から1年4ヵ月かけてプランニングを行い、2015年2月に着工。 利用者さんに都度、部屋を移っていただきながらの工事で、2015年10月31日に完成しました。最初のお話から2年2ヵ月が経っていました。
Miyaji
大規模リニューアルなので、やはり時間もかかりますね。具体的にはどのような改修をされましたか?
Miyaji
私からは「短期入所者・長期入所者など居室の区域ごとに色を変えたい、明るい雰囲気にしたい」というお願いをしました。 壁と床をすべて塗り替え、照明もあたたかみのある色にしてほしいとお願いした結果、夜間はホテルのように素敵な光が溢れています。 合わせて玄関前の庭にも手を入れていただき、雰囲気のよいあかりが灯る素敵な玄関ポーチになりました。
Miyaji
部屋は4つの区域に分けて、それぞれテーマを決めてカラーコーディネートしました。 元気が出るビタミンカラーのオレンジ、安心感を与え気持ちをリラックスさせるグリーン、心を陽気にし幸福を象徴する黄色、気持ちを穏やかに落ち着かせる茶色の4色です。 カーテンもポップな大柄のものを選び、病院や施設のイメージとは全く違う雰囲気にしました。 居室は4人部屋ですが、お一人おひとりのプライバシーが守れるよう、ベッドの間に間仕切りを作り、明るい色のカーテンをつけて個室風にしました。 吉田施設長から「脱・施設」という明確な方向性を示していただいたので、それを具現化してゆきました。
Miyaji
照明は全体的に色温度を落としました。5000Kの白い蛍光灯だけだったところを、3000K・4000Kの和みの色を中心に変更しています。 廊下はブラケットで白い壁を照らすようにし、食事スペースは明るさを保ちながらもLED光源が直接見えない設計になっています。 2階ホールは直線のラインが美しい斬新な照明設計で、夜間の講演や研修時にも十分な明るさを備えています。
Miyaji
これまで長い経験がおありの美山苑様だからこそ、いろいろな課題が見え、具体的な改修案もお持ちだったのではないでしょうか?
Miyaji
そうですね。とにかく、現場の声を聞いて、それに沿った改修をお願いしました。柱の角を緩衝材でガードしたり、廊下の手すりを握りやすいものにしたり。 娯楽スペースだったところを、食事ができるホールに用途を変更したため、新たに水場を作っていただいたりもしました。 クロスや床、家具、施設サインに至るまで、細かなデザインについてはすべて永易さんにご提案いただきました。玄関ホールをはじめとても素敵な仕上がりです。
Miyaji
今回、クロス、床材、2階ホールのビニル床タイルなど、複数の色を張り分ける手法を使いました。 居室は1面だけをアクセントにして、テーマカラーのクロスを張っています。遊び心や高級感を演出し、木目調の腰壁を貼ったことであたたかい雰囲気が出せたと思います。 職人さんは大変だったと思いますが、ご理解いただき気持ちよく施工していただきました。 玄関の下駄箱には壁面を照らす間接照明を埋め込み、玄関ホールをやさしく包み込むあかりで演出しています。 収納式の消毒用アルコールを置く台や、消火器を収納するスペースも作りました。
Miyaji
今回は特別養護老人ホームという大規模施設のリニューアル案件でしたが、工事の途中で気になることや変更が必要になることはありませんでしたか?
Miyaji
いい提案をしてもらえましたし、施設の特性上問題になることも、すぐに私どもの要望を聞いて直していただきました。
Miyaji
リニューアルによって、施設の運営に大きな変化はありましたか?
Miyaji
LED照明と高効率のエアコンを導入したことで、ずいぶんと電気代が下がっています。 以前はボイラー式の冷暖房設備だったので温度管理が難しかったのですが、電気になってからは手軽に部屋ごとの個別空調ができるようになりました。 また、ナースコールシステムが新しくなり、職員がどこにいてもPHSで対応できるようになりました。職員にとっても利用者さんにとっても、利便性が格段に向上しました。 そして何よりも、利用者さんが快適に暮らせるようになり、喜んでいただいています。プライベート空間ができたことで、ご家族の方とも気兼ねなくお話しいただけるのではないかと思います。
Miyaji
今回は、当社の社員もよい経験をさせていただきました。ありがとうございます。

インテリアデザイン担当室の一員として、単独で挑んだ初の現場でした。 設計・監理という立場で仕事をするのも初めてで、阿古目課長とともに、施工業者さんと2週間に1回打ち合わせをしながら進めてきました。 間違いなく仕事を進めるのは大変なことだと実感しました。しかし、内装一式をトータルで受注すれば、調和のとれた質の高い提案ができます。 今後も、県外事業所とのコラボに積極的に取り組んでゆきます。今回は、利用者様の生活の場ということを第一に考え、「住みたいと思う空間づくり」に注力しました。 吉田様にいろいろ教えていただき、経験値を上げることができました。今後の仕事に生かしてゆきます。

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